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ロベルタ編感想、昨日に続き連投で続きです。
最終回です。






このロベルタ編という物語は、作者の広江先生がリキ入りまくりで書いているであろうキャラの顛末に限って不自然不可解です。
ガルシアがロベルタに恋愛感情というのはその最たるもの。
8巻終盤のあれを見聞きしてロベルタラブ!一人の女性として愛してる!と思えるとは、ガルシア君はずいぶん特殊な嗜好をお持ちなんですねとしか。

もう一人の正義漢キャクストンも、任務中にガルシアに銃を渡して「これで私を殺しなさい」とか。
キャクストンを射殺した後のガルシアを、部下達が大事に守って国に連れ帰ってくれると本気で思っているのでしょうか。
それとも部下達が銃を向けている以上ガルシアには撃つことなど出来ないと計算していたのか。

そして最後のレイモンド射殺。
これ、グレイフォックス(以下GF)で生き残ったのはキャクストンとレイモンドだけという状況ではなく他のメンバーも何人も生き残っていて、その現場を見ているんですよね。
隊長が副隊長を射殺という異常な現場を見て黙っているのは、一応、投降した敵を殺そうとするルール違反をレイモンドが侵そうとしたからでしょう。
でもそれに加えて、帰国次第ロベルタが出頭して米軍軍人殺害の罪で逮捕取り調べを受けると考えていたからでしょう。

「え、このままベネズエラに帰る?
出頭も何もしないの?え?」

という疑問は、生き残りメンバーの中にあって当然ですが、ないことになっています。
それともディエゴ暗殺は隠密の作戦だったので、それの被害者関係者から復讐されても黙って受け入れ、犯人が家に帰って普通に暮らすのも黙認するという観念があるのでしょうか。

でもそれなら、投降した敵は殺してはいけないなどという紳士協定は存在せず、復讐者から身を守る延長で投降した復讐者を殺すのも可なのでは?

おそらくそのような理屈は抜きで、「復讐の連鎖を止めるためなら30年近く共に生きてきた部下も殺すキャクストン」を書きたかったのでしょう。
そのために執る手段が、言葉での説得とか身を挺してロベルタの盾になるとかじゃなく(それが間に合わない状況には見えませんが)、有無を言わせない射殺というのも皮肉な話です。

暴力反対・人命軽視反対を訴えるファビオラが、それをロックに訴えるために執った手段が言葉での説明ではなくいきなり空砲で撃つというのに似通ったモノがあります。

繰り返しになりますが、ガルシア・ファビオラ・キャクストンの言動はめちゃくちゃなんですよね。

ガルシアとファビオラは、ロベルタを個人的に好きだから無傷で生還させ、普通の生活を送らせたい。
しかしそれだけでだめで、ロベルタもそれを助ける自分たちも正義の側の人間だと思っていたい。

ロベルタがキャクストンを殺すことさえ阻止できれば、それは達成できると思っている。

ロベルタにキャクストンを殺させないことを達成できたので、ロベルタがそれ以外の人間を殺したことも、ファビオラや雇ったレヴィたちが作戦の過程で人を殺したこともすべてチャラになった。
自分たちは正義漢だと思っている。

自分たちは正義漢だと思いこんでいるから、恩人相手に一歩間違えば死ぬような暴力をふるったり、悪口を言うのも平気の平左。
さらには、ロベルタの過去の罪は法の裁きをうけなくてもいい程度のものだと考えることも平気。
これらについてはロベルタも同じですが。

うーん………………
中学生くらいの年の少年少女を、ここまで邪悪な偽善者にすることの意義ってなんなんでしょうか。
エピローグで、本人達の知らない所で張にちくりと当てこすりを言わせて吸収できる程度のモノじゃないですよ。

顔面アップも含めた大ゴマを多用して、作中の正論としてドラマチックに演出してきた論理がこれでは……。
読者に考えさせるための周到な仕掛けというより、単に作者がコントロールしきれていないだけに見えるのですが。

本編で最も人間くさく哀切なキャラクターは、レヴィでもバラライカでもなくレイモンドだと思うのです。

ベトナム戦争時代、ジャングルの中で孤立しては生き残れないという理由で少女の輪姦に参加しそうになってしまう、心の弱さを持った人間。
そのような罪人になることから救ってくれたキャクストンに心酔し、ずっと彼のようになりたいと思ってその手足となって働いてきた。
カンボジアに突入する前のラグーン号での会議で、部下の一人がロベルタ救出に難色を示すのを制して、任務達成もロベルタ救出も両立させることを誓って見せたのはその感情の表れだったのでしょう。

しかし結局、そのために何人もの部下がロベルタに殺されてしまった。
「俺はお前のような男になりたかった」と叫びながらロベルタに銃を向けるレイモンドは、もしかしてキャクストンに撃たれることの予期すらしていたのかもしれません。

改めて言うと、GFはあくまで任務を果たしただけ
(しかもその暗殺対象だった共和派がのちにベネズエラを崩壊状態にすることを考えると、やはり必要なことだったのではとしか)
それで殺した相手の身内に復讐されてメンバーを何人も殺されて、さらに隊長がその復讐者の命を守るために副隊長を殺害。

GFはロベルタの正体を知らないけれども
(正体を知ろうともしないのはもの凄く不自然ですけど)
このロベルタはGFなんて目じゃないくらい罪のない人間を大勢無惨に殺してきた人物なんですよね。
もしそのことを知ったらGFメンバーは恨めしさに化けて出るんじゃないでしょうか。

アニメ版ではロベルタは重度障害を負い、そのためだという考え方も出来ますがレイモンドがロベルタを殺そうとしてキャクストンに射殺されることもなし。
痛み分けに近い状態で、双方の被害をなるべく平等にならそうというスタッフの苦労が忍ばれます。
その一方で、GFが散々苦労した麻薬組織壊滅の手柄がCIAにさらわれてしまうというおまけ付き。

かなり批判的なレビューになりましたが、見所もあります。
銃撃の音が本当に聞こえてくるようなアクションシーンの迫力は文句なし。
廃墟戦で捨て駒にされたちんぴら達の全く報われなかった男気にはただ涙&合掌。

展開に直接関係しなくてただ戦いを見物して会話するだけで終わるキャラなのに、ここまでキャラを立たせる必要あるかー?と思うほどキャラの立ってる殺し屋ブレン&フィラーノ。

カンボジアの交戦シーンで「パッケージ・ロメオ」「エコー、チャーリー」という言葉が出てきますが、これらは軍隊用語でパッケージは対象者でエコーは敵。
また軍隊では、無線の際に聞き間違えのないようアルファベットは単語でいうことになっており、CはチャーリーでRはロメオ(ロミオ)というそうです。
つまり上記の言葉は
「敵である頭文字Cの人(シュエ・ヤン)」
「対象である頭文字Rの人(ロベルタ)」
ということになります。
こういう考証の細かさに裏打ちされた、戦闘開始前の緊迫感の表現も戦闘シーンそのものに劣らない相当なもの。

批判的なことばかり書きましたけどね、再開を待ってるんですよ。こう見えても。

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コメント

No title

久しぶりにアニメを見返して用語を調べてみました。
たぶんアニメでは、
パッケージ…護衛対象者(生きたまま捕獲する対象)
(パッケージ・)ロメオ…ロベルタ(または単に「標的」)
(パッケージ・)阿片金庫…シュエ・ヤン
アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ、エコー…A~E班
途中で「命中はした。致命傷を避けて足を狙ったが逃走した」「よし」「このやり方では手負いの虎にしてしまうだけ」という会話があります。
なのでGFの作戦は初めから、徐々にダメージを与えて殺さず捕獲する事になってますね。

Re: No title

> 久しぶりにアニメを見返して用語を調べてみました。
> たぶんアニメでは、
> パッケージ…護衛対象者(生きたまま捕獲する対象)
> (パッケージ・)ロメオ…ロベルタ(または単に「標的」)
> (パッケージ・)阿片金庫…シュエ・ヤン
> アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ、エコー…A~E班
> 途中で「命中はした。致命傷を避けて足を狙ったが逃走した」「よし」「このやり方では手負いの虎にしてしまうだけ」という会話があります。
> なのでGFの作戦は初めから、徐々にダメージを与えて殺さず捕獲する事になってますね。

コメントありがとうございます!
返信が遅れまして大変申し訳ありません。

補足説明もありがとうございます。
それからすると、「エコー、チャーリー」というのは「敵のシュエ・ヤン」という意味ではなくE班C班ということなのでしょうか。
アニメ版で阿片金庫という言い方で補完する所を見ると、そうなのでしょうね。

ご指摘ありがとうございました。
お気が向かれましたら、またお立ち寄りください~(⌒ ⌒)ノ

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読書と映画鑑賞が趣味の安梓です。

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